こんにちは、スタッフの熊木です。
今日は前回の記事の続きです。
前回は化学物質によって汚れた空気は体に悪影響を与えることがある、ということをお伝えしましたが、今回は化学物質が私たちに与える影響についてもう少しお伝えします。
※前回記事はこちらです→「住宅の空気環境と私たちの体への影響の話」
有害化学物質が与える影響とは
有害化学物質が原因で引き起こされる体への影響としては、先ほど挙げた「シックハウス症候群」や、シックハウス症候群よりも激しい症状が出る「化学物質過敏症」があります。
さらには、アトピーやアレルギーも有害化学物質がその症状を悪化させる原因のひとつといわれています。
シックハウス症候群
シックハウス症候群の症状は、目の痛みやかゆみ、鼻水、ぜんそくなど非常に多岐に渡り、個人差も大きいです。
本人にしか自覚できない症状も多いため、風邪や精神疾患と間違われてしまうこともあります。
化学物質過敏症(CS=Chemical Sensitivity)
化学物質過敏症は、その名の通り化学物質に対して過敏になり、様々な種類のわずかな量の化学物質に反応してしまうというものです。
シックハウス症候群をきっかけに発症することが多く、症状はシックハウス症候群同様、多岐に渡りますが、シックハウス症候群よりも激しく症状が出るのが特徴です。
重症化すると仕事や家事などができなくなるなど、日常生活にも大きな影響が出てしまいます。
様々な化学物質に反応するため、印刷物が読めなかったり、香水や芳香剤が使えなかったりと、あらゆる場面で症状が出ますが、周囲の人になかなか理解してもらえず悩まれている方も多くいらっしゃいます。
弊社代表の熊木は、これまで化学物質過敏症やシックハウス症候群でお悩みの方にアドバイスを行ってきたという経験がございます。
今後、代表の熊木による化学物質過敏症の方のご相談事例などの記事もアップしていく予定ですので、もしご興味があればそちらもご覧ください。
有害化学物質による影響が増えてきた背景
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1. 住環境の変化による建築物の気密の向上、換気の不足
昔の住まいは通気性がよかったために室内の空気が汚れにくい環境にありましたが、現代の住まいは省エネルギーの観点から気密性・断熱性が高められ、冷暖房が効きやすくなり住みやすくなった反面、しっかり換気をしないと空気が汚れてしまうリスクが高まりました。
2. 建材の高機能化・高性能化による多様な化学物質の使用
昔の住まいでは、無垢の木材に土壁、畳や障子といったように草、土、紙などの天然素材が用いられていました。
一方、現代の住宅建材では、強度を高める接着剤、燃えにくくする難燃剤、長持ちさせる防腐剤や防かび剤などが使われています。
建材の高機能・高性能化によって省エネ等の実現といった恩恵を受けてきたということも忘れてはいけませんが、それに伴い、様々な化学物質が使われるようになりました。
建築基準法改正によるシックハウス対策
2003年に行われた建築基準法の改正では下記のシックハウス対策が盛り込まれ、シックハウス症候群の原因となる化学物質を含む建築材料は使用が制限されることになりました。
クロルピリホス対策
- シロアリ駆除剤などに含まれるクロルピリホスという化学物質の使用禁止
ホルムアルデヒド対策
- ホルムアルデヒドを発散する建築材料の内装仕上げの制限
- 換気回数0.5回/h以上の機械換気設備(いわゆる24時間換気システムなど)設置の義務付け
- 天井裏などの制限
国土交通省ウェブサイトでは、シックハウス対策についてのチラシやパンフレットが閲覧できます。
※チラシ、パンフレットはページ下部にあります。
厚生労働省による「室内濃度指針値」
住む人の健康を守るため、厚生労働省は室内濃度指針値というものを設定しています。
室内濃度指針値とは「現時点で入手可能な毒性に係る科学的知見から、ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値」のことで、13の物質について定められています。
それぞれの数値については下記ページで見ることができるほか、インターネットで「室内濃度指針値」と検索すると出てきます。
【参考】新潟市ウェブサイト「身近に使われている化学物質の指針値」
最後に
今日は有害化学物質が体に与える影響についてご紹介しました。
次回はこの有害化学物質を減らしてきれいな空気環境にするためには?ということについて書いていきたいと思います。